- 団地はどう変わっていく?「ハラッパ団地・草加」に見る新しい暮らし 投稿日 2019年11月11日 07:00:38 (不動産ニュース)
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昭和の30年代から40年代にかけて、日本各地で盛んにつくられた「団地」。老朽化に伴い、解体される物件もある一方で、そのよさが再発見・再評価されつつあります。今回はそんな現代に蘇った「団地」のひとつ、埼玉県のハラッパ団地・草加を訪問。団地ならではのつながり・ふれあいのある暮らしについて聞いてきました。
1971年築の社宅を全室リノベ。保育園・カフェ・畑・ドッグランを併設!
ハラッパ団地・草加があるのは、東武スカイツリーライン・新田駅から徒歩8分という住宅街。もともとは1971年築の社宅でしたが、全面リノベーションし2018年から賃貸住宅に。住居は全55戸ですが満室で、なんと現在、40組以上のウェイティングリストができるほどの人気ぶり。
(写真提供/ハラッパ団地・草加)
団地の魅力には「敷地のゆとり」や「緑の多さ」を挙げる人も多いですが、この「ハラッパ団地」は、そうした良さをリノベーションで全面的に押し出していて、敷地面積1800坪という2棟の建物に、約100坪の畑、レストランとピザ窯、ドッグラン、保育園が併設されています。また、レストランと保育園は、マンションの住人もそうでない人も、ふらりと立ち寄れるようになっています。では、実際に暮らす人はどのように感じているのでしょうか。2018年末に転居してきたMOMOさんに話を聞いてみました。
「2018年の秋に部屋探しをはじめたところ、友人に教えてもらったのがこのハラッパ団地でした。犬2匹がいるので、ペット可がマスト条件。前に住んでいた街からも近いし、見に行ってみたらと声をかけてもらって。初めて見たとき、周囲の建物と比べて、団地の一角だけちょっと空気が違うなって感じました。クリームイエローで明るくて、緑があって。すごく印象に残っています」と振り返ります。
ただ、部屋探しをはじめたばかりなので他も見たいなと思い、即決はしませんでした。しかし、その後、さまざまな物件を見ましたがここほど心躍る物件とは出会えず、12月には「ハラッパ団地」に決定し引越してきました。
つながりは重たい? 心地よい関係なら負担にならない
決め手になったのは、リノベされた新しい家の良さ、そして団地の施設。すべてが「ちょうどよい」と話します。
「部屋のなかも新しくなっていて気持ちがいい。団地のドッグラン、畑、保育園、カフェ。ぜんぶ欲しいなって思っていました。当時は空室があって、いくつか部屋を見学したんですが、最終的には1階に保育園のある棟にしました。保育園の子どもたちの声から元気をもらおうって考えて。近くに子どもの声のある暮らしって、いいんだろうなって考えたんです」とMOMOさん。
MOMOさん宅のリビング。アクセントクロスとコーデされたインテリアがステキ(写真撮影:嘉屋恭子)
子どもの声から「元気をもらう」という発想、良いですよね。ご近所との「つながり」に変化はあったのでしょうか。
「以前は一戸建て住まいで、知人やご近所の人とはあいさつしていましたが、ハラッパだと知人でなくても、顔を合わせたら『あいさつ』をする。なんだか新鮮だなと思いました」
とはいえ、入居前は「人とのつながりが、重くならないか心配もした」(MOMOさん)といいます。昭和の団地が持っていた「濃密な人間づきあい」や、自治会や班長などの当番制度は負担感もあり、令和の今では敬遠されてしまうことでしょう。では、実際はどうなのでしょうか。
「人とつながるといい面もあれば、悪い面もある。ただ、改めて感じたのは、人とのつながりって生きる原点なんだな、と。もちろん、無理せずゆるく、自然に、時間をかけてというのもあります。私の場合、併設のカフェ『ハラッパ食堂』が気に入ったので、自分の飲食店運営の経験を活かして、ときどきお手伝いをすることになったんです。それから畑をお手入れする『畑部』に加わって、知り合いが増えて、と自然にお友だちができていきました」
大人になると、「子ども」や「犬」などを介さずに友だちをつくることは難しくなるもの。でも、ハラッパ団地では新しく友だちができた、というのも喜びにもなったそう。そしてもう一つ、大きな再発見が。
「レストランを手伝うなかで若いころに絵を描いていたと話したら、店の壁に絵を描いてほしいって言われて、久しぶりに筆をとりました。不安もあったけど、ほんとにうれしかった!」と笑顔を見せるMOMOさん。人とつながるなかで、自分の忘れていた「大切なもの」を取り戻していったといいます。
ハラッパ食堂に描かれたMOMOさんの絵。引越してきた団地で以前の経験が活きる。まるで映画のような展開(写真提供:MOMOさん)
(写真提供:MOMOさん)
こちらは店内に描かれたミモザ。見る人の気分まで明るくさせてくれる「イエロー」は、ハラッパ団地を象徴する色だ(写真提供:MOMOさん)
団地が教えてくれる人とのつながりの価値・意義
では、肝心の部屋の住み心地はどうなのでしょうか。建物は耐震診断がされて安全確認済み、室内はすべてリノベーション、ネット環境も整備されているというものの、日常生活で古さや不便さを感じることはないのでしょうか。
「エレベーターはありませんが、それは分かっていたことですし、問題ないです。私、人生初の団地住まいなので、すべてが新鮮。キッチンの小窓、ステンレスの玄関扉って、すべてがかわいいなって。古いものを手入れしながら大切に使っていくのって、欧州のようでいいですよね」とレトロ可愛いと評価しています。
MOMOさん宅のリビング。当初はものをもたずに暮らそうと思っていたものの、この部屋で暮らすうちに、心地よい空間をつくろうと思い直し、好きなアイテムを買い足していったそう(写真撮影:嘉屋恭子)
団地にあるキッチン脇の小窓が「かわいい」というMOMOさん。団地特有のしつらえを活用しながら、上手に住みこなしています(写真撮影:嘉屋恭子)
その一方で、心地よいと感じることは非常に多いそう。
「ハラッパのベランダにはスズメが遊びに来てくれたり、今朝は赤とんぼがスイスイっと立ち寄ってくれたり、モミジが1枚ハラリと風に乗って落ちていたり……。どこにでもあることなのだと思いますが、人とのふれ合いを通じて、こんな日常のささやかな光景も素敵だなと思えるようになりました」とMOMOさん。
入居して1年、人とのつながりについても、改めて考えたそう。
「今はSNSで世界中の人と簡単につながることのできる時代です。それもとても素敵なことだと思います。
でも、人と人とのふれ合いとつながりは、本来ならば、リアルなあいさつ、会話からはじまるもの、ゆっくり体温を感じながら築いていくものなんだなぁと、改めて感じることができました。忘れかけていた大切なことをここで暮らすことによって、思い出させてもらいました。建物のリノベーション自体もとてもおしゃれでキレイで気に入っていますが、その裏側の深くて温かいコンセプトにとても共感しています」(MOMOさん)
団地が日本にできて半世紀、団地の意義・価値は、実は私たちが思っている以上に大きいのかもしれません。令和になった今こそ、こうした団地の再発見・再評価の流れは続いていくことでしょう。
●取材協力
ハラッパ団地・草加
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