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台風15号や19号は、全国各地に大きな被害をもたらしました。神奈川県の一部や千葉県では、建物の屋根が飛び浸水するなどの事例が多数確認されています。
屋根が飛んでも一部損壊? 困難を極める罹災証明の発行作業
筆者は台風15号の後、被害の大きかった千葉県館山市に赴き、家屋の被害状況を調査し被害状況に応じて「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」等を認定・証明する「罹災証明」を発行する自治体職員に同行しましたが、その作業は困難を極めるものでした。現地に赴く役所の職員は必ずしも建物の専門家ではない中、各部位について5段階で評価を行うのですが、評価は担当者によってばらつきがありそうです。また、ただ屋根が飛んだだけでは「一部損壊」ですが、現実には屋根がなければ生活はできないため、政府が要件を緩和し、屋根が吹き飛んだといったケースでも「半壊」とみなすこととしたのは幸いでした。
1995年の阪神・淡路大震災を受け、2001年に業界団体連合会が発行した「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠した建物であったかどうかが今回、屋根が吹き飛ぶといった被害の分かれ目だったことが、全日本瓦工事業連盟・全国陶器瓦工業組合連合会 合同調査チームの被害視察で分かっています。
そしていくつかの被災現地では、高額な、あるいは不要な修繕費用を請求されたり、建物が十分に乾かないまま修繕を行うことでカビが発生するなどの2次的被害も起きているようです。
タワーマンションでも発生した思わぬ被害
河川が決壊する、処理しきれない雨水で浸水するといった被害は全国各地で発生。タワーマンションの建設などで発展著しかった武蔵小杉のタワーマンション10数棟のうち2棟は、排水管からの逆流などで地下階にある電気関係設備が浸水し、各戸の電気はもちろん、エレベーターが使えない、水道ポンプが被災したことから水やトイレも利用できないといった状況が続きました。
武蔵小杉駅周辺や、多摩川周辺はハザードマップで浸水の可能性が指摘されていました。多摩川はもともと大きく蛇行しており、それを直線に付け替えつつ堤防を整備してきた経緯があります。そうしてできた土地に工場がたち、企業の廃業などで土地が売却されそこにタワーマンションが建ち並ぶといった、土地利用履歴の変遷がありました。
被害を受けやすい建物の特徴とは?
これからの不動産選びでは、ハザードマップの確認はもちろん、現状に応じた対策が必須となりましたが、ここでは、台風などで被害を受けやすい建物の特徴をあげてみます。
(写真/PIXTA)
●1階が「半地下」
低層の住宅が建ち並ぶ地域では、より大きな建物を建てる、階数を稼ぐといった目的で、あえて土地を掘削し、地盤面より低い半地下の部屋が設けられていることがあります。高台にあり自然に排水できればいいのですが、通常は生活排水を問題なく排水できていても、台風などの豪雨時には下水道管からの逆流や道路側からの雨水の流れ込みによる浸水被害が発生するおそれがあります。排水ポンプが設置されていたとしても、ポンプの処理能力を超える水には対応できず、万一停電になれば稼働もしません。半地下部分にトイレがあれば、排水が逆流を起こす可能性も高まります。半地下の居室であれば水圧でドアが開かなくなるといった事態も考えられます。
●屋根に「軒」がない
軒(のき)とは「外壁より外に突出している屋根部分」のことです。昨今は、デザイン上の理由から、あるいは敷地が狭いなどの理由で軒が少ない、あるいはまったくないといった「軒ゼロ建物」が散見されますが、軒がないとどうしても、横殴りの暴風雨などの場合には雨漏りしやすくなります。これといった対処方法はありませんが、屋根裏の点検口をのぞくなどして、雨漏りがないかの定期的な点検をお勧めします。
●サッシに「雨戸」がない
最近では外観上の理由から、またはコストダウンの観点から、雨戸を設置していない建物も多いのです。暴風で飛来物に遭遇した場合、雨戸があれば一定程度被害を防ぐことができますが、ガラスだけでは被害を防ぐにも限界があります。前述した工事ガイドラインに基づかない屋根瓦が周辺から飛んでくるとひとたまりもありません。シャッターや雨どいを後付けしたり、ガラスの破片が散らばりにくいフィルムを張るなどの対処方法が考えられます。
●バルコニーに「オーバーフロー管」がない
「オーバーフロー管」とは、万が一排水口が詰まったり、想定以上の雨で排水しきれないときのための2次的な排水口のこと。雨水が室内側に溢れてくるのを防ぐために、サッシより下部に設置されている必要があります。後からオーバーフロー管を取り付ける場合には、工事方法や取付位置に十分な注意が必要です。
●メンテナンス不足でバルコニーや屋上の防水機能が著しく劣化している。
バルコニーや屋上は「FRP防水」「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」といったさまざまな手法で、雨水の浸透を防ぐ工事が行われていますが、劣化が進行したり、暴風雨などで棄損していると、そこから雨水が流れ込み建物内部を傷めます。防水の耐久年数はその工法によって10~20年とまちまちですが、定期的な点検と必要に応じた補修が欠かせないのです。
いかがでしたでしょうか。年々高まる気候変動リスクに備え、これから家を建てる方も、すでに買って住んでいる方も、万が一の備えはできる限りしておきたいところですね。
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