- 日本一の「自転車のまち」へ。サイクリストが集う茨城県土浦市の暮らし 投稿日 2019年12月17日 07:00:51 (不動産ニュース)
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日本で二番目に大きな湖である霞ヶ浦。そのすぐほとりに位置する茨城県土浦市では、今日本各地からサイクリストが集まりつつある。官民一体となってのまちづくりが功を奏している証拠だ。一体、どのような取り組みが成されているのか、土浦市へ向かってみた。
サイクリングロードをきっかけとして始まった取り組みとは
土浦市が、本格的にサイクリングに特化したまちづくりを始めたのは、2016年のこと。土浦市政策企画課の東郷裕人さんが教えてくれた。
「それまで、主なサイクリングロードは2つありました。筑波山方面の一本と、霞ヶ浦を回るルートです。それが茨城県の事業として合体することになり、全長180kmになる『つくば霞ヶ浦りんりんロード』として生まれ変わりました」
霞ヶ浦周辺をぐるりと楽しめるサイクリングロード。車の往来はそれほどないので、安心して自転車も走行できる(写真撮影/相馬ミナ)
筑波山の麓まで行ってもよし、霞ヶ浦をぐるり一周するもよし、もちろん全てのルートを回ってもいい。茨城県を代表する風景を楽しめるサイクリングロードができたことで、土浦市はサイクリストが集う街への道を走り始めたというわけだ。
まず、環境整備としては、つくば霞ヶ浦りんりんロードに限らず、周辺の道は県道もあれば市町村それぞれが管理する道もある。各自治体で話し合い、統一のデザインで自転車走行の場所や方向を示すように整備された。サインクリングロードには、どこにも青い矢羽根が描かれている。
ちなみに霞ヶ浦の一周は約140km。アップダウンが少ない平坦な道ゆえに風景を楽しみながら、途中の温泉に寄ったり、道の駅で買い物をしたりと、ゆっくり走るのもいいだろう。しかし、子連れにはちょっと長い距離かもしれない。
商工観光課の中村良さんが話を続ける。
「一周するのが大変という方は『霞ヶ浦広域サイクルーズ』もおすすめです。自転車を乗せることができる遊覧船でショートカットする方法もあるので、そちらを利用してもらってもいいですね」
小さな子どもがいる人にも、さらには途中で雨が降ってきて早く戻らなくてはならなくなっても、遊覧船があれば安心だ。あらゆる状況を想定してサイクリングを楽しめるように考えられていることが分かる。
商工観光課の中村さん。自らも自転車に乗る機会が増えたという(写真撮影/相馬ミナ)
さまざまなニーズに対応すべく考えた施策
このように多角的な視点から「サイクリング」に取り組んでいることが伝わってくる。レンタサイクルは、市が運営するものもあれば、民間のものもあり、それぞれしっかり差別化されている。
例えば、貸出場所と返却場所は別でも大丈夫という乗り捨て可能なレンタサイクルもあれば、事前予約をするとレンタルできる今人気のスポーツタイプの電動アシスト自転車などの最新機種がそろうお店もある。さらには、専用アプリに会員登録をすれば早朝や深夜に借りたり返したりできる無人のステーションも。
一面ガラス張りで開放感のある「りんりんポート土浦」。自転車に特化した施設は、市として初めての試み(写真撮影/相馬ミナ)
「特徴を分かりやすくお伝えすることで、使い道にあった場所で借りていただければ、と考えています。さらに、サイクリストの憩いの場として、拠点となる施設である『りんりんポート土浦』もつくりました。トイレやシャワールーム、更衣室もあれば、自転車のメンテナンスができる道具やスペースもあります」(中村さん)
施設内にある自動販売機は、エネルギー補給のスイーツのほか、メンテナンス用の道具も販売されている(写真撮影/相馬ミナ)
この『りんりんポート土浦』以外にも、まちなかの店舗や施設に『サイクルサポートステーション』というのぼりが立っている。そこではサイクリストに休憩場所を提供していたり、トイレを貸し出したり、空気入れや工具を用意していたりする。
休憩しながら、ルートを考えたり、他のサイクリストとコミュニケーションをとったりできるスペースになっている(写真撮影/相馬ミナ)
「こうして少しずつ施設が増えることで、市全体でサイクリングを盛り上げようという意識が高まってきています。カフェメニューに自転車をかたどったスイーツをつくっていたり、パンクや鍵の紛失などに対応する自転車のロードサービスもできてきました」(中村さん)
ベースキャンプとなる駅ビルの開発
その流れの拠点となっているのが、土浦駅に直結している駅ビルである「PLAYatré TSUCHIURA」だ。
駅直結の「PLAYatré TSUCHIURA」は、市外からの玄関口になっている(写真撮影/相馬ミナ)
「日本最大級のサイクリングリゾート」をコンセプトに立ち上げたという。主任の髙梨将克さんに話を聞いた。
「土浦駅はサイクリングコースの『つくば霞ヶ浦りんりんロード』のスタート地点であり、首都圏からの玄関口でもあるので、ここをベースキャンプとしてみなさんに楽しんでもらえたら、という考えでサイクリングに特化した施設になっています」
「PLAYatré TSUCHIURA」の1階にある「りんりんスクエア土浦」内に店舗を構える「le.cyc土浦店」。レンタサイクルや販売のほか、修理や情報発信、さらにはサイクルイベントも行っている(写真撮影/相馬ミナ)
「PLAYatré TSUCHIURA」の1階と地下にある「りんりんスクエア土浦」は、茨城県が事業主体となり、JR東日本、アトレが連携して管理運営を行っている施設。先ほど説明した最新モデルのロードバイク等が借りられるレンタサイクルのほか、アプリ連携での無人のレンタサイクル、コインロッカーやシャワールームなど、手ぶらで来てもサイクリングを楽しめるような設備が整っている。
地下1階にある無人のレンタサイクルのエリアにも、シャワー室がある。入り口には防犯カメラもしっかりついていて安心して使える(写真撮影/相馬ミナ)
ここを拠点にしてほしいという思いの表れとしての情報発信スペースもあり、ここからどう回ればいいか、さまざまなルートのパンフレットがそろっている。
「le.cyc土浦店」内の情報発信スペース。それぞれの能力や希望に合わせたルートを提案している(写真撮影/相馬ミナ)
日本初のサイクリストに向けた駅ビルとは
見てください、と髙梨さんが指差した足元にはブルーのラインが描かれている。
「館内はどのフロアも自転車の持ち込みが可能なんです。そのルートを表しているのがこのライン。館内の店にはサイクルスタンドが設置されているので、自身の自転車のそばで安心して過ごしてもらえるようになっています」
青いラインが館内の各フロアに敷設されている。手前にある「PLAYatré」の刻印の入ったサイクルスタンドはビル内に設置されている(写真撮影/相馬ミナ)
サイクリストは、自分の自転車に愛着を持っているものだ。お金をかけている人も多いだろう。外の駐輪場よりも、そばのスタンドに置けることで安心というわけだ。サイクリストの心理に寄り添って細やかな配慮がされている施設であることが分かる。
「TULLY’S COFFEE」はイタリアの自転車メーカー「Bianchi」とコラボレーションした内装で、チェレステカラーを使ったサイクルスタンドがある(写真撮影/相馬ミナ)
館内にはカフェやレストラン、学習スペースのほか、茨城の良さを広く知ってもらおうと、地元で人気のベーカリーショップやスイーツを扱う店や、ワークショップを開催する書店が並ぶエリアもある。スタンドに自転車を置いて店内へ行く人もいれば、広いスペースで折りたたんで颯爽と駅構内へ向かう人もいる。
「従来、サイクリストが電車に乗るには、自転車を折りたたんだり広げたりするスペースがなくて大変だったんです。そういうサイクリストの声を一つ一つ拾って、どんな施設が必要かを考えてできた施設なんです」(髙梨さん)
レストランフロアも充実していて、自転車にまつわるディスプレーが目を引く(写真撮影/相馬ミナ)
「通り過ぎるのではなく、滞在する場所にしたくて」という髙梨さんの言葉通り、飲食店でも書店でも、学習スペースでも、たくさんの人がゆったりと過ごしているのが印象的だ。さらに2020年3月には、サイクリングや観光を楽しむためのホテル「星野リゾート BEB5 土浦」も完成する。
土浦市がサイクリングへ特化した取り組みを始めて2年。地元で自転車を利用する人や、首都圏からサイクリングに訪れる数もかなり増えてきている。官民一体となって走り続けてきた取り組みが、しっかりと根付いている証しだ。
●取材協力
土浦市
PLAYatré TSUCHIURA
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