- 「地域みらい留学」って? 新しい土地の高校で学び・暮らす“15歳の決断”で得るものは 投稿日 2020年3月12日 07:00:53 (不動産ニュース)
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前回、都会から親元を離れ、島根県の高校に入学、2019年に東大生となった鈴木元太さんにインタビューした。鈴木さんが活用したのが、都道府県の枠を超えて地域の高校に入学する「地域みらい留学」という制度。
今回は、運営団体である一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームに、立ち上げた背景、実績や反響、気になるあれこれをインタビューした。
進学する側・受け入れる側、双方の交差ニーズから生まれたプロジェクト
「地域みらい留学」とは、北海道から沖縄まで地域の公立高校に入学し、充実した高校3年間を送る制度のこと。「留学」と名はついているが、短期ではない。多くは新しい土地で寮生活などを送ることになり、高校進学の新たな選択肢として注目を浴びている。 都会にはない自然、その地域独自の文化、地元と全国から集まる同級生、地域の大人たち。まさに「世代を超えた多様な仲間」との「実践的な学びの場」となっている。
そもそも、この制度が立ち上がった背景とは?
「ひとつは、急激な社会変化や大学入試改革などを受け、”これからの社会を生き抜く力を身に着けてもらいたい”と考える親御さんたちが増えていることです。従来の一方通行な詰め込み型の教育に違和感を覚える子どもたちもいます。また、受け入れる地域の側でも、生徒数が少なくなりつつある高校に、異文化や多様性を取り込み高校に活力と刺激をもたらしたい、という強い思いがありました。地域みらい留学は、子どもを留学させる側、受け入れる側、両方向からニーズが交差した事業です」(一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム 地域みらい留学 広報責任者 安井早紀さん)
都会では得られない3年間の体験で大きく変化する子どもたち
実際、この3年間を通して、子どもたちにはどんな変化があるのだろうか。
「”この3年間で自分の人生が変わった””留学をしていなかったらまったく違う人生だった”と話してくれる子はとても多いです。
例えば、北海道奥尻島にある奥尻高校に留学した女子生徒は、『部活の遠征費を生み出すための部活オクシリイノベーション事業部での活動』『寮運営の中心的役割』『生徒会活動』などさまざまなことに挑戦しています。全校生徒数60名余りと活躍のチャンスが多いこと、彼女の旺盛な好奇心をかき立てるような町の課題が近くにあること、そして地域社会との距離が近くチャレンジできる舞台があることが、彼女の挑戦を加速させます。
奥尻高校に留学した女子生徒が「部活の遠征費を生み出すための部活オクシリイノベーション事業部」での活動の一環で行った「奥尻マルシェ」。奥尻の名産品や自分たちでデザインしたオリジナルグッズの販売などを行った(写真提供/一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム)
また、島根県立津和野高校では女子生徒が、高校生と地域の大人たちとつなげて進路や将来を考える座談会を企画・運営まで自分たちで行なう『アスギミック』というプロジェクトを立ち上げました。地域で暮らす大人たちと進路の悩みについて話したり、多様な年代の大人たちに”やってみなさい”と挑戦を応援され、助けられ、育っていく日々、自然豊かな環境と余白の時間で自分と向き合う時間は教科書以上の学びにつながっています。
見知らぬ土地で暮らす3年間は一筋縄ではいかないこともあります。しかし、その葛藤も含めて、感じていることに素直になって向き合い、自分なりに行動し、自分らしい進路を見つけています。これは、普通に受験し、都会の高校に進学していたら、なかなか得られない経験だと思います」
3年間の体験をきっかけに「地域」を学び続ける卒業生は多い
そうした貴重な経験をした生徒たちが、どういう進路、どんな分野で活動をしていているのか気になるところ。現在、「地域みらい留学」「しまね留学」の卒業生では、地域での活動が評価され、推薦・AO入試などで、東京大学、慶應義塾大学、上智大学、立教大学、立命館大学に進学した学生がいるほか、「地域」を切り口にした学びを大学でも続けるため、観光学部、地域協働学部、地域創生学部といった分野に進学した学生もいる。
「釣り好きが高じて島根県立隠岐島前高等学校に進学した前田陽汰さんは、在学中、寮長として寮改革に取り組み、休日は地域に出て島民と交流を深めていました。現在は慶應義塾大学総合政策学部に在籍しつつ、NPO法人ムラツムギを立ち上げ、地域活性化以外の選択肢として“まちの終活”を提唱。家のお葬式”家オクリ”や寺おさめ”寺オクリ”等の取り組みを通じて、第二の故郷・島根にも関わっています。ほかにも、フリーランスのフォトグラファーや、大学卒業後に自身が地域みらい留学生の寮生活を支えるコーディネーターとなった卒業生もいます」
前田陽汰さんの寮長時代の写真。寮生と一緒に(写真提供/前田陽汰さん)
大学進学した後は、地域活性化ではなく、“まちの終活”に着目して活動を続けている(写真提供/前田陽汰さん)
話を聞いていると、「意識の高い子」「自分の好きなことがはっきりしたい子」が多いようにも思う。ただし、実際の中学生たちの留学前は「目的意識のはっきりしていない子のほうが多数派です」と言う。
「例えば、今いる学校への違和感、新しい形の学びを求めているなど多様な動機、状況があります。ただ、共通するのは“いまの延長線上の未来を変えたい”という気持ちです。そんな子たちも、3年間で、自分の性格も世界の捉え方も変わった、将来の夢ができた、人の温かみと繋がりを知った、自信がついて自分らしくいられるようになった、帰りたい場所ができたと話してくれます。まだ見ぬ土地に踏み出す勇気から始まった3年間では、みんな、自分に対して小さくても大きくても、何らかのチャレンジをし、成長しています」
都会からの留学生が、地元の高校生の未来を変えた
大きな変化があるのは、都会からやってきた留学生だけではない。地元の高校生たちにも、都会からやってきた同級生は大きな影響を与えている。
「地元の子たちは、幼少期から同じ顔触れで育っていますから、外からまったく違うバックグラウンドを持つ高校生が入ってくることで、多様な価値観を知ります。また、都会から来た子から見える地元の魅力を聞くことで、見慣れた地元の魅力を再発見する機会に。県外から生徒を受け入れることで、地元の子どもたちの未来が変わったり、意欲的な生徒が地域に飛び出すことで学校と地域の関係性を紡ぐきっかけになっています」
卒業したら家業を継ぐ、そもそも大学進学を考えていない地元の高校生が、外から刺激を受け、学ぶ楽しさを知り、自分自身の将来を考えるきっかけにもなっているそう。
例えば、島の仲間はみんな顔見知りという環境だった男子生徒は、全国からはもちろん、海外からの帰国子女の留学生の存在が大きな刺激に。進学した東京の大学では、少子高齢化が進む団地での地域拠点を創出するサークル活動を行っている。
また、以前は家業を継ごうと考えていた畜産農家の高校生は、畜産農家や留学生との交流が転機となって慶應義塾大学へ進学し、卒業後はJAに就職して畜産の後継者不足問題に取り組んでいる。
現地のオープンスクールで行きたくなる子も
最近では、都市部で全国の地域の学校が一同に集まる地域みらい留学の合同説明会「地域みらい留学フェスタ」の参加者人数が、この2年間で1000名→2000名と大幅に増えるなど、注目を浴びているという。
「オルタナティブな教育のあり方に興味関心を抱いている保護者の方が増えていることを感じています。なかには、小学生のお子さんをお持ちの親御さんが、”私立の中学受験をさせるか、中学は地元の公立・高校は地域みらい留学するか、で検討している”とおっしゃっていました。実際に地域みらい留学をさせている保護者の方々から評判を聞いたという来場者の方が多いです」
一方で、注目を浴びるにつれ、親が前のめりだけれど、本人は消極的といったケースも増えているのでは?「たしかに地域みらい留学フェスタに来るきっかけの7割は保護者の方になります。来場する中学生は説明会で地域の学校と出逢い、在校生や卒業生などのロールモデルの声を聞いて『楽しそう!』『自分もこうなりたい!』と意欲が高まり、7、8月の夏休みのオープンスクールで現地に親子で赴きます。そして、本当に挑戦するかどうかは中学生自身が最後に決めるケースがほとんどです」
現在、3年間で13道県34校→25道県55校と受け入れ高校も増え、取り組みが北海道から沖縄まで広がっている。今後「地域みらい留学を当たり前の選択肢に」と、高校生のチャレンジの選択肢として海外留学と同じくらいに地域留学も広めていけたらと考えている。
「多様で複雑で変化の激しい、正解のない社会を生きていくために、ローカルでの濃い3年間の原経験は、とても貴重なものになるでしょう。それぞれがつくりたい未来を、それぞれの形でつくって行ってほしいと思っています」
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