- 高架下スペースに“賃貸住居”や“ホテル”!? 新たな街づくりが加速中 投稿日 2020年5月19日 07:00:15 (不動産ニュース)
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駅を中心とした鉄道高架下スペース「駅下」に、今まで以上に注目が集まっている。これまでにも飲食店などはあったが、賃貸住宅やホテル、保育園などにも利用されるようになり、“街”と言ってもいいほどの充実ぶりだ。なぜ今、高架下なのか。最近の高架下はどんなふうになっているのか。そして、今後はどのような方向へと進んでいくのか。高架下の今とこれからを展望してみた。
JR中央線高架下の学生向け賃貸住宅への入居が始まった
2020年3月、JR中央線東小金井駅―武蔵小金井駅間の高架下に学生向け賃貸住宅「中央ラインハウス小金井」が完成した。JR中央線の高架下を敷地としており、専用カフェテリアでの食事と管理員付き、3人の建築家が各人のコンセプトのもとに各棟の設計を担当するというデザイン性が話題となったこの物件。現在、学生たちが、入居を開始している。
契約者は、近隣や多摩地区にある大学や専門学校の学生で、中央線沿線であることから、都心部に通学する学生も少なくないという。高架下と聞くと、電車の走行に伴う騒音や振動が心配になるが、今の所、入居者からそういった不満の声は上がっていないということだ。
「この物件のように、中央線沿線で新築、かつ食事が付いた賃貸物件は珍しいので、その点に魅力を感じている契約者が多いようです」(JR中央ラインモール開発本部マネージャー関口淳さん)。
高架下に誕生したスタイリッシュな賃貸住宅は周辺に住む人々の目を引き、入居学生専用のカフェテリアには、「入居者以外でも利用できませんか?」という声もあるそうだ。
中央ラインハウス小金井C棟の部屋の一例。専有面積15.94平米、ロフト面積4.93平米で、月額賃料7万円、共益費1.5万円/月。ロフトやワークデスク、本棚に加えて、乾燥機付きのバスルームもある(写真提供/JR中央ラインモール)
L棟の部屋の一例。キッチンやライブラリー、ランドリーなどのコモンスペースが充実しているL棟では、10平米台というコンパクトな専有スペースに家具を機能的に配置している(写真提供/JR中央ラインモール)
C棟のコモンスペースである「アウトサイド・コモン」。C棟には共用設備として宅配Box、オートロック、防犯カメラ(外部)などもある(写真提供/JR中央ラインモール)
敷地の中心に位置する専用カフェテリアでは、平日の朝・夕2回、入居者に食事が提供される(写真提供/JR中央ラインモール)
JR中央線の東小金井駅から徒歩7分、武蔵小金井駅からは徒歩11分と、両駅が利用可能。両駅間の高架下にはすでにショッピングモールや保育園がある(写真提供/JR中央ラインモール)
鉄道の連続立体交差事業が高架下スペースを生み出している
これまで高架下には、飲食店などの店舗はあっても、住宅が建てられることはなかなかなかった。中央ラインハウス小金井のような「高架下住宅」が誕生したのはなぜか。その背景には、敷地の大半が住居専用の用途地域(第一種低層住居専用地域)であったことがある。そして、その敷地は、中央線三鷹駅~立川駅間の線路高架化に伴って生じたものだ。高架化によって、全長9kmにも及ぶ高架下空間が生み出されたのである。
このような鉄道の高架化は、都市部を中心に、全国で進められている。開かずの踏切による交通渋滞の解消、複々線化による鉄道輸送力の増強などを目的とした連続立体交差事業が実施されているからだ。
高架化によって、それまで線路や踏切だった土地が別の用途に転用されるようになったことが、駅周辺の再開発や、高架下スペースの有効活用を促している。ここ最近、高架下が活発に開発されているのは、そうした背景によるものなのだ。
連続立体交差事業の例(東武スカイツリーライン竹ノ塚駅付近)。事業主である足立区は、新たに生まれる高架下スペースの利用方法について、区民にアンケートを実施している(画像/PIXTA)
沿線ごとの個性を活かした商業施設が次々にオープン
JR東日本グループのディベロッパーである株式会社ジェイアール東日本都市開発では、「高架下から未来のまちづくりを」という理念のもと、高架下を起点に都市開発を行っている。同社が取り組むのは、駅と駅の間の空間の魅力づくりであり、今まで気づかれていなかった沿線の価値を引き出すことを意図して、沿線別にテーマ性を持って高架下の開発を進めている。
例えば、JR秋葉原駅―御徒町駅間の高架下では、“こだわりの日本”という大きなテーマに沿って、個々の開発が行われている。「CHABARA」は、神田青果市場跡という立地特性に沿った“食へのこだわり”というコンセプトに基づいており、「SEEKBASE」は“日本の技術”、「2k540」は“日本のものづくり”、「御徒町ラーメン横丁」は“日本のソウルフード”といった具合だ。
また、JR阿佐ヶ谷駅-高円寺駅間では、“歩きたくなる高架下”というテーマに沿って、「Beans阿佐ヶ谷」「alːku阿佐ヶ谷」を展開している。
加えて、2020年6月下旬には、JR有楽町駅―新橋駅間に「日比谷OKUROJI」が開業予定。都心立地にふさわしい、大人向けの飲食、ファッション、雑貨などの店舗がそろうことになっている。
JR秋葉原駅と御徒町駅の間の高架下にある「SEEKBASE」の館内。「日本の技術」をテーマに、オーディオやカメラ、模型店などの個性的な店舗がそろっている(写真提供/ジェイアール東日本都市開発)
「SEEKBASE」の外観。ホビー系の店舗以外に、飲食店や「UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA」というホテルもある(写真提供/ジェイアール東日本都市開発)
学童やプリスクール、体操教室に加えて、カフェなど親子で過ごせるショップが集まる「alːku阿佐ヶ谷」。広々とした中央通路に、「歩きたくなる高架下」というコンセプトが現れている(写真提供/ジェイアール東日本都市開発)
「日比谷OKUROJI」の完成予想図。東京の中心地である日比谷・銀座の「奥」にあることに加え、高架下通路の秘めたムードを「路地」という言葉に置き換えることで、「オクロジ」と命名されたのだとか(写真提供/ジェイアール東日本都市開発)
「日比谷OKUROJI」の館内予想図。バーの文化が根付くエリアであることから、さまざまなスタイルのバーもそろう予定(写真提供/ジェイアール東日本都市開発)
保育園やホテル、学びの場など多彩な事業も展開
ショッピングモールの開発が目を引く高架下活用だが、その用途は商業施設にとどまらない。前述の中央ラインハウス小金井に加えて、さまざまな事業が展開している。
例えば、保育園。JR東日本による子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」の一環として高架下に設けられた保育園は複数あり、駅近という立地も手伝って好評だ。騒音被害を心配した周辺住民からの反対などがない点でも、保育園はある意味、高架下向きなのだろう。
また、前出の「SEEKBASE」内「UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA」、JR京葉線舞浜駅高架下の「ホテルドリームゲート舞浜」、京浜急行線日の出町駅-黄金町駅高架下のホステル「Tinys Yokohama Hinodecho」など、宿泊施設も登場している。
中央線の高架下では、2019年4月にさまざまなジャンルのワークショップが「nonowaラボ」として企画され、生活をより楽しく豊かにするヒントが詰まった、子どもから大人まで全世代が利用できる学びの場が提供されている。中央線沿線に住む人々を中心として、『「豊かな暮らし」の実現』をコンセプトに、生活をより楽しく豊かにするヒントが詰まったワークショップが選りすぐられているのが特徴だ。
高架下施設の建設については、電車走行時の振動を建物内に伝わりにくくする工法も開発されている。新たな技術によって高架下スペースの居心地が良くなることで、さらなる可能性も開けていきそうだ。
「nonowaラボ」では、中央線沿線にある4つの教室で毎月約10講座を実施中。写真は、その教室のうちのひとつである「プログラボ国立」。中央線国立駅と立川駅の間の高架下に位置している(写真提供/JR中央ラインモール)
●参考
中央ラインハウス小金井
日比谷OKUROJI
nonowaラボ
元画像url https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2020/05/172599_main.jpg
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