- ミニチュア作家・田中智氏の世界におじゃまします! 1/12サイズの家はキッチンもスイーツもリアル 投稿日 2019年5月21日 18:18:03 (不動産ニュース)
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指に乗せたミニチュアの「とん汁」でブレイク。インスタグラム25万人のフォロワーをもつ、ミニチュア作家の田中智さん。現在は、国内外の個展や本の出版、ミニチュア教室の講師、クラフトメーカーのアドバイザーなど多岐に渡って活躍、世界から注目されている作家さんです。そんな田中さんに、ミニチュアの魅力をうかがいました。
思ったより小さい!1/12サイズだから表現できる世界観
1/12サイズのミニチュアの世界。家具、お皿、カトラリー、シューズ、アクセサリー、パン、ケーキ、観葉植物。実際に見ると、思ったよりも繊細で小さい!「みなさんがよく見る食玩やリカちゃんが1/6サイズ。だから、見慣れない大きさかもしれませんね」。1/12はドールハウスの基本サイズ。「実物の1/12サイズは、ギリギリ表現できるかできないかの小ささ。つくっていて、よくできたスケール感だなと思います。手のひらに置いて見たときに一目で全体像が分かるから、情報量もちょうどいい」。指を入れて撮影しないと、ミニチュアだと分からないリアルさに驚かされます。
「シンプルなものほど難しい」。特に、玉子かけごはんは、拡大して撮影することが前提なので、お米のひと粒ひと粒まで、ディテールにこだわる必要があるので気が抜けない(撮影/香西ジュン)
子どものころからモノづくりが大好き
田中さんのモノづくりは子どものころから始まります。「ドラクエとかのゲームに出てくる武器を、自己流で紙粘土でつくり、水彩で着色までしていました」。昔のゲームは3Dではないので、正面は分かりますが、うしろまでは分かりません。「そこを想像しながらつくるのが好きだったんです」と笑いながら教えてくれました。
実際にミニチュアにハマったのは、トラックドライバーをしているころに出合った樹脂粘土。「それが実に衝撃的で。紙粘土でつくった食べ物はパサパサして美味しくなさそうだったのに、樹脂粘土は透け感があるので、食べ物独特の表面加工が自由にできる。素材が変わるとこんなにも美味しそうにできるのかと。ミリ単位のミニチュアは技術的にも難しく、どうやったらよりリアルになるのかと考えながらつくるのが面白くて、目に付いて面白そうなものは何でもつくっていましたね」
「好き嫌いしていたら技術的に上手くならない」と、自分が好きな携帯ゲーム機などの機械、女性が好みそうなケーキやパン、中華や洋食など、ローテーションでジャンルを変え、技術を磨いていった(撮影/香西ジュン)
ミニチュアならではのリアル感、SNSでどう見せる?
作品で大切にしてるのは、世界観や雰囲気、説得力。「教室で生徒さんを抱えているので、つくる素材は絞りたい」と、素材は基本的に樹脂粘土「グレイス」を使いますが、布を紙で表現したり、粘土で表現できないときはプラスチックを使ったり。小さな瓶に貼るラベルは、通常の紙をヤスリをかけて薄くします。「完成がすべてで、プロセスは頭の体操」と田中さん。ふふ。子どものころと変わりませんね。ミニチュアのリアル感は、資料や写真、モノをしっかりと見ることも大切ですが、時にデフォルメすることも必要だそうです。
「写真を撮影することが大前提。だから、ミニチュアの顔(正面)や凹凸を意識して、光を当てたときの陰影まで考えながらつくります。いつも自分が撮影しているので、それは自然と身に付きました」
ミニチュアと撮影。そこには、田中さんとSNSの歴史があります。かなり早い段階からSNSに注目して、自分の作品を撮影しては公開。SNSのはしりと言われるHPの掲示板から始まり、ブログ、ツイッター、インスタとメディアを変えながら情報を発信していきます。「HPやブログは自分の認知度を知る手だてはありませんでしたが、ツイッターやインスタはフォロワーの数で自分の認知度が分かる。SNSが流行し始めた3、4年前に公開、1カ月くらいで1万2万と増えていく。そこでようやく、自分がやってきた手応えを感じました」
本当のカフェみたい!(撮影/香西ジュン)
瓶についている紙は実際の紙をヤスリで削ってラベルにしてる(撮影/香西ジュン)
ミニチュアのプロセスは本当に試行錯誤。失敗することも多かったと言う。「今でこそ、紙を薄くする、なんて知識がありますが、昔は印刷してみたけど思い通りの色にならなかったと失敗ばかりでした」(撮影/香西ジュン)
「実は、住宅建材会社で仕事をしていました!」
製作期間が1~1年半かかった力作・ドールハウスも、「あくまで小物の背景なんです」と田中さん。緑に囲まれたナチュラルスタイルの家とコンセプトを決めて、インテリア雑誌など10冊以上から研究。実際の主婦のディスプレイなどを参考に、自分なりのアウトプットを導きだし、ドールハウスをつくり込みます。
(撮影/香西ジュン)
引き違い窓はちゃんとスライドできるし、ルーバー窓の透明のプラスチックは、傷がつくと交換できるようになっています。実は田中さん、以前アルミサッシ会社で働いていたことがあり、サッシを組み立てて住宅で設置する仕事をしていた経歴があります。「ここでちゃんと働こうかと思ったほど、楽しかったんです」と笑う田中さん。だから、ミニチュアも本格的で、通常の建築と同じように柱、壁とつくっていきます。「壁の組み合わせでドールハウスをつくると窓の部分をくり抜くのがとても大変。でも、線の連続だと窓部分が意外と簡単なんです」。建築と同じ方法で組み立てるほうが理にかなっている、というわけです。
家具は、実際のアンティーク家具の図面を1/12サイズに落とし込み、木からパーツをつくって組み立てます。「実際の家具と違うのが、1/12サイズだと0.1ミリの誤差が命とり。本当の家具より精密でないとダメなんです。木目によって歪みが出るので、木の大きさがそろっているものを購入するよう気を使います」
タイル貼りのキッチンに食器、瓶詰め、家電、お皿、気の遠くなるような、小物の数々。実際の職人の技を使った窓に注目!(撮影/香西ジュン)
(撮影/香西ジュン)
外壁の塗り壁にモールディング、看板、じょうろ、グリーンにラックと外観も手を抜かない。「もう終わろうかなと思ったら、1回寝かせて次の日に空間をつめる。その『あと一歩』を大切にしました」(撮影/香西ジュン)
引き出しはすべて開閉するこだわりよう!ブルーグレーの食器棚は代々受け継がれて行くリペイント家具をイメージ(撮影/香西ジュン)
ミニチュアの世界を楽しむ。その市場を広げたい
田中さんがつくる世界観を求めて、地方自治体やさまざまな企業からオファーが殺到。海外でも注目度が高く、現在は台湾のお菓子メーカーのディスプレイ作品を手掛け、台湾での個展が控えていたり、ホビーショーに出展する模型メーカーの新色デモンストレーションに参加したり、多忙を極めていますが、後進の育成にもしっかり力を注ぎます。「ミニチュア教室を通してよりよい作家さんが出てくることも大事です。でも、生徒さんのなかには、つくる以外に、会話を楽しむ方もいれば、集めるのが好きな人もいます。ミニチュアに携わることでどんなカタチであれ楽しんでもらい、その市場を広げていくことも大切ですね」
自分の作品で言えば、「もっと効率的で発展したミニチュアの見せ方も考えていきたいですね。あとは、初期につくったかき氷機や電子レンジ、ゲームファミコンなどをもう一度つくってみたいです。いろいろなノウハウや当初のダメさも分かっているので、クオリティをあげていけるのも、楽しみかな」と田中さん。1/12サイズのミニチュアは、最初は「かわいい!」「すごい!」「インスタ映え!」とそのインパクトの強さに目を奪われますが、じっくりと対象物を見る観察力、素材選びとアプローチを考える思考力と再現力、何より「終わろうかな」と思ったとき「あと一歩」とがんばる粘り強さがあるからこその、このリアル感。そうやって作品を見ると、何だかワクワクしてきます。
生徒さんが趣味としてできるよう道具は100均で手に入りそうなものばかり、5000円くらいですべてそろう。日本のメーカーがクラフト用に出したアイテムを効率よくアレンジして、生徒さんに教えることも(撮影/香西ジュン)
●取材協力
田中 智(たなか とも)
食べ物や雑貨、植物など身近にあるものを題材にミニチュアを制作。こだわりをもちながらも独創的になりすぎず、見る人の目線を大切にし、共感してもらえるものづくりを心がけている。「nunu’s house」というブランド名で活躍中。大阪市在住。
著書に『田中智のミニチュアワーク』『田中智のミニチュアコレクション』『田中智のミニチュアスタイル』(学研プラス刊)がある。
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