- フランスは食品ロス対策の最先端! コロナ禍で大流行のアプリ「Too Good To Go」を4店舗で使ってみた 投稿日 2021年6月28日 07:00:38 (不動産ニュース)
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環境問題に関心が高いヨーロッパ、食品ロスは日本よりもずっと以前から問題視されてきましたが、コロナ禍でさらに関心が高まっています。外出規制やマスク着用という不自由で不安な生活がすでに1年3カ月続いているなかで、自分の生き方や地球環境に目を向ける時間が増えたからです。そんななか、ヨーロッパ全土で食品レスキューアプリ「Too Good To Go」が大流行中。筆者が暮らすフランスから、食品ロス対策の最前線をお伝えします。
地球温暖化を身をもって体験したパリジャン&パリジェンヌが動き始めた!
10年前、パリの住宅にはクーラーはほとんどありませんでした。毎年夏でも寝苦しい日は数日、日差しは強くても日陰は涼しく心地が良かったのです。しかし、数年前から30度以上の暑い日が続き、扇風機の売り上げがグッと伸び、冷風機(水を機械に入れて冷風を出す仕組みで、エアコン・クーラーのように室外機を設置しなくて良いタイプ)というものまで販売されるようになりました。さらに、去年の冬は雪がほとんど降らなくなり、12月になってもダウンジャケットを着なくても過ごせるように。パリの人々も身をもって地球温暖化を体験しています。
そんな危機感を募らせるフランスの人々が起こした行動が、本来食べられる食品が捨てられてしまう「食品ロス問題」に立ち向かうこと。現在、生産された食品の3分の1が廃棄されているといわれ、これは世界規模で膨大なコストがかかるだけでなく、気候変動にも大きな影響を与えているのです。自分たちの毎日の生活に深く結びついている「食」からならなんとかしていけるかも!と考えたのです。
フランス政府が世界でいち早くしたこと
2016 年 2 月、フランス政府は世界でいち早くスーパーマーケットの食品廃棄を禁止する法律をつくりました。スーパーマーケットはこれらの食品を慈善団体やフードバンクに提供をすることで、食べることに苦労している人々に毎年さらに何百万もの無料の食事を提供できるようになりました。SDGs(持続可能な開発目標)の「目標2:飢餓をゼロに」にも効果を発揮しています。
本来ならスーパーマーケットの食品は賞味期限が切れたら次の日には捨てられてしまう(写真撮影/松永麻衣子)
ほかにも、こんなことも行われています。
■国連気候変動会議COP 21は、約 100 のレストランに 対して100,000 個の「持ち帰り用」ボックスを配布し、客が食事の残り物を持ち帰ることができるように。SDGsの「目標12:つくる責任、つかう責任」を推進
■フランスでは、学校の食堂で準備された食事の 3 分の 1 は食べられないままです(フランスの給食はビュッフェスタイルなため、子どもたちは好きなものだけをよそいます)。この無駄をなくすためにパリ市では学校に対して、「学校それぞれでドレッシングを手づくりにすることでサラダをもっと美味しく食べられるようにしたり、果物を切り分けて食べやすくしたりするなど、子どもたちに給食を好きになってもらう努力が必要」と食品管理を呼びかけています。
■パリ市は、家庭での食品廃棄物をリサイクルすることを推奨しています。リサイクルボックスを配布するなどし、分別ゴミとして収集された後は、肥料に変換されるか、熱と電気、またはバス用のバイオ燃料に変換されます。
フランスのスーパーマーケットやマルシェでは、以前からエコマインドがあった
日本ではレジ袋が有料化したのは昨年7月からですが、フランスは数年前からすでに取り組んでおり、スーパーオリジナルのエコバッグの販売に力を入れています。特に、「MONOPRIX」のエコバッグは、定期的に新作を出しており、コレクターアイテムにもなっています。
1~1.5ユーロのMONOPRIXのエコバッグ。日本でも大人気。お土産にも喜ばれています(写真撮影/松永麻衣子)
食品ロスが話題になる前から日常的に行われていたことも、食品ロスを減らすのに効果的だと見直されるようになりました。
例えば、パリのマルシェでは1ユーロプレートをよく目にします。屋台の端に、まだ美味しく食べられるけれど鮮度がこれから落ちてしまう野菜や果物が1ユーロプレートに並べられています。例えば、ラディッシュ2束1ユーロ/葉は枯れてしまっているけれど、実はまだまだ美味しい。ライム6個1ユーロ/皮の部分がちょっとしぼんできているけれど、果汁は十分美味しい。キウイ8個1ユーロ/熟して柔らかいけれど、ジャムにしたりジュースにするには美味しい。などなど。
店頭でも食品ロス削減運動。見た目は悪いけれど、まだまだ美味しく食べられる食品の“福袋“(写真撮影/松永麻衣子)
フランスの食品を量り売りするシステムは、パックやブーケなどとは違って余分に買いすぎてしまうことを避けられます。フランスの値札はほとんどが<1kgいくらか>と表示されていますし、マルシェではもちろんスーパーでもバナナ1本から買うことができます。
ヨーロッパで食品レスキューアプリ「Too good To Go」が大流行! 使ってみました
フランス政府がスーパーマーケットの食品廃棄を禁止する法律をつくった2016年と同年3月、「too bood to go」 というフードレスキューのアプリがリリースされました。2015年にデンマークで創業、現在15カ国で展開され、3900万人以上のユーザーを抱えています。2016年から今までに7650万食がレスキューされました。
レストランやスーパーマーケットなどで賞味期限切れ間近だったり、パッケージが破損してしまったりといった“捨てるにはもったいない食品/食べるには問題ない食品”が元の販売価格の3分の1程度で手に入ります。
食品レスキュー・アプリ「Too good To Go」の画面(写真/アプリ画面より)
アプリをインストールしたら、国を選び、自分がいる場所から加盟店を表示し、食品ロスのある店舗を探します。半径3km以内、5~30kmなど範囲を指定して検索できます。筆者は徒歩圏内で利用したいということで、3km半径に設定しました。
レスキューして欲しい食品があると“緑の●”、残り1袋だと“黄色い●”、ないときは”グレーの●”と一目瞭然。お気に入りのお店をまとめて見られたり、アプリがオススメしてくれたり、とても使いやすいです。
予約をした後はネット支払い、指定時間に店で受け取り、アプリで受け取り確認をして終了。“食品ロス福袋”は何が入っているか分からないので、サプライズ感もあって楽しかったです。
ただ、中身はヨーグルト4個パックなど一人暮らしでは食べきるのが難しいものもあり、食品ロスにつながってしまう可能性がある点は注意が必要です。筆者は5人家族、食べ盛りの子どもが3人いるので3分の1の価格で食品が手に入るのはとてもありがたいです。何が入っているか分からなくても、週に1回の利用なら、さまざまなメニューに工夫して使ってみることができ、楽しみながら食品ロス削減に貢献できそうだと思いました。
お気に入りのお店の”今日のレスキュー”のオファー画面。12ユーロ相当の食品が3.99ユーロだったり、とにかくオトク。決められた時間帯に取りに行きます(写真撮影/松永麻衣子)
この様に”●”でお店が表示されます。高齢者も多く使っているそう(写真撮影/松永麻衣子)
4店舗で“食品レスキュー”した結果は?
加盟店には大型スーパーの「カルフール」や「モノプリ」、人気パン屋の「ポール」や「エリックカイザー」、Bioショップの「ナチュラリア」などのチェーン店が多いのも魅力です。
今回はスーパーを2軒、新しいスタイルのデリバリー専門スーパー1軒、Bioショップ1軒の計4軒で“食品レスキュー”を試してみました。
まずは食品レスキューを率先して行っている「カルフール」。我が家から徒歩圏内になんと5軒もあるので、使い勝手も抜群です。
レジに並ぶことなくレジでスマホを見せると担当者が奥へ。5分ほど待ち、福袋をゲットしました(写真撮影/松永麻衣子)
(写真撮影/松永麻衣子)
15ユーロ相当の食品を3.99ユーロで購入できました。
中身は、賞味期限ギリギリのお菓子、鶏ささみ(下味をつけて次の日に調理)、マーシュ(サラダにするとおいしい野菜・次の日に完食)、食パン、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ブレッツェル(全て次の日に完食)。ちょっと乾いたフヌイユ(野菜・冷蔵庫で保管して1週間以内に完食)、傷のあるりんご(当日美味しく食べました)、ちょっと傷んだメロン(当日食べましたが美味しくなかった)という結果でした。
次は我が家のお気に入りのスーパー「SUPERU」。行くたびに、店員がレスキュー商品らしきものをマジックバッグにかなりの品目を詰めているのが気になっていました!
シンプルな袋は、持つとずっしり重かった(写真撮影/松永麻衣子)
(写真撮影/松永麻衣子)
15ユーロ相当の食品が3.99ユーロ。25ユーロ分あるのでは?と思う充実の内容でした。
全てが賞味期限ギリギリで、ハム2パック(次の日に完食)、七面鳥(当日スープに)、生ソーセージの盛り合わせ(冷凍して3日後に白いんげんと煮込みました)、キッシュ(冷凍して後日完食)、ムサカ(東地中海沿岸の伝統的な野菜料理・当日完食)、サンドイッチ(次の日に完食)、ヨーグルト類(次の日完食)。肉類が多かったのでとても満足でした。
3軒目は、新しいスタイルのデリバリー専門スーパー「Dija(ディジャ)」。通常は商品を購入すると配達人が商品を届けてくれますが、食品レスキュー商品は消費者が特定の場所に取りに行きます。倉庫のようなところに自転車が数台、配達人が待機していました。
紙袋にはあらかじめパンドゥカンパーニュと食パンが入っていて、お客が来るとそこに冷蔵食品を詰めて渡してくれます。受け渡しがとてもスピーディーです!(写真撮影/松永麻衣子)
(写真撮影/松永麻衣子)
こちらも15ユーロ相当の食品が3.99ユーロ。賞味期限当日だったリヨンソーセージ(冷凍庫で保管し、週末のバーベキューで完食)とフムス(ひよこ豆のペースト状の中東の料理・3日間ぐらいで完食)、と前述のパンが入っていました。パンは賞味期限ギリギリということもありかなり硬く、手を加えないと食べられない状態でした。
ラスト4軒目は、食への意識が高いBioショップ「ナチュラリア」です。Bioショップは全体的にアプリと提携しているお店が多いようです。また、以前からレジ袋や野菜の包みに再生紙を使ったり、ジュースなどの瓶を返却すると瓶代が返金されたりと、食品ロス削減とゴミを減らす呼びかけがされていました。ドライフルーツの量り売りのために入れ物を持参するお客さんも多く、カルチャーが根付いているように感じます。
再生紙のバッグにズッシリと入っていました。買い物客と同じように列に並び、順番が来たらレジでスマホを見せます。“福袋”はレジの横の冷蔵庫に保管してありました(写真撮影/松永麻衣子)
(写真撮影/松永麻衣子)
15ユーロ相当の食品が3.99ユーロ。エシャロット(まだまだ美味しく食べられる状態)、パン(硬くて食べるのを諦めました)、バナナ(ケーキに使いました)のほか、賞味期限切れ当日の鶏肉(次の日にオーブン焼きにして完食)、カマンベールチーズ(1週間ぐらいで完食)、フルーツ入りヨーグルト(2日間で完食)、プリン(次の日に完食)が入っていました。Bio食品は価格が高いので、これだけのものが入っていたら週に1回ぐらいの割合でレスキューしたいと思いました。
デリバリーショップも食品
食品レスキューは、デリバリー業界にも浸透しつつあります。
今パリは、コロナ禍による外出制限解除の2段階目の状態です(6月4日現在)。夜の帰宅は19時から21時に伸び、商店と映画館や美術館は全て開き(入場制限があります)、カフェとレストランはテラスのみ営業可能になりました。
コロナ禍でUber Eatsの利用がうなぎ上り、個人事業主登録したドライバーが街にあふれました。しかし、人気レストランの前ではUber Eatsのドライバーがたむろしている雰囲気だったり、ヘルメットをかぶらずに事故を起こしたり、保冷バッグが使い古されて汚かったりと、なんとも雑なイメージが定着してしまっています。
そんな中、「gorillas(ゴリラ)」は“オーダーしてから10分以内でお届け!”を謳い文句にした新しいスタイルのデリバリー専門スーパーです。オーダーが入ったら倉庫で待機している職員が商品を袋詰めし、オールブラックの制服(転んだときのための膝などのプロテクト付き)にヘルメットをかぶり自転車でデリバリーします。
筆者がオーダーしてみると、4分後に商品が届きました。23時までやっているので、21時の外出制限のときに買い忘れなどあっても安心。一人暮らしで病気のとき、ご老人の買い物、などこれからも需要は伸びそうです。
そんな「ゴリラ」の食品ロス削減へのアプローチは、ただ賞味期限切れや鮮度が少々落ちた野菜や果物を安く販売するのでなく、福袋にしたり、素敵なおまけにしてみたりと、ちょっとした工夫で食品ロス削減に楽しく参加できる、というものです。
今回は、バナナとりんご(ゴリラにちなんで(?))でした。
手書きの「ご注文ありがとうございます」カードとエコバッグが付いてきました。こんなスタイルもかっこいいのです(写真撮影/松永麻衣子)
このように、フランス内で食品ロスをめぐる対策はどんどん広がってきています。我が家では、子どもたちと話し合った結果、週に一度はこのアプリを利用して食品ロスを無くすことに貢献しようということになりました。日本でも、食品ロスアプリが登場してきています。みなさんもぜひ使ってみてください!
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