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親から相続した家を空き家にしたくない、ましてや朽ちさせたくない。そう思いつつも、予防策や解決策を知る人はそう多くないのでは? そこで東京都はこの春、基礎知識や解決事例を分かりやすくまとめたガイドブックの無償提供を開始した。東京都の空き家事情や、提供の背景とは?
誰にでも分かりやすい、空き家のガイドブックを追求
2019年3月、東京都は、「東京空き家ガイドブック」を公開した。冊子を5000部用意するとともに、ホームページからダウンロードもできるようにした。いずれも無料だ。内容は、2016年12月から2018年3月まで実施した「東京都相続空家等の利活用円滑化モデル事業」で収集した空き家の事例と、空き家の解決の手がかりとなる基礎的な知識をまとめた「空き家のギモン」から構成されている。東京都職員が主導し編集したという。公開の理由を、住宅政策本部住宅企画部・空き家施策推進担当課長の磯山稔氏はこう話す。
「空き家が社会的な問題となって久しいのに、空き家を抱えている個人に向けた、具体的な解決策を紹介するガイドブックがありませんでした。そこで、実際の相談事例を交えた、分かりやすいガイドブックの制作に踏み切りました」
住宅政策本部住宅企画部・空き家施策推進担当課長の磯山稔氏(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
モデル事業が扱った63件の解決事例から15件を紹介
取り上げた15の事例は、モデル事業に選定されたNPO法人空家・空地管理センターと東京急行電鉄、ミサワホームが対応したもの。期間内に3事業者が対応した63件の解決事例の中から選定された。相談事例の内容を見ていくと、おおよそ下記のようにグルーピングできる。
まずは、「なかなか売れない古い家。費用がかからず早期解決する売却方法は?」「借地権付きの空き家が売れない時は?」など、固有の条件を持つ空き家を売却する方法を探るもの。
もうひとつは「敷地が狭く、活用が難しい家。何か良い活用方法はない?」「自分に一番適した利活用の方法は何でしょう?」など、空き家を所有し賃貸住宅などの利活用の方法を聞くものだ。
そのほか、「親族間で共有名義の建物の活用について、意見が合いません……」といった、親族間の問題を含んだものがみられるのも特徴だろう。
売却に関する悩み、利活用に関する悩み、どちらも適切な専門家への相談が大切(「東京空き家ガイドブック」より抜粋。資料提供/東京都)
15事例それぞれにある「お悩み解決プロセス」が参考に
こうした空き家にはどのような問題であっても、解決に向けては、建築的なこと、売買に関すること、相続など法的なことなどさまざまな要素がからみ、一体何から着手していいか悩みがちだ。これは、個々人の空き家解決が長引く一因でもあるだろう。
当ガイドブックでは、それぞれの事例について、「相談内容」「お悩み発生プロセス」「状況課題」「(事業者からの)提案」「解決」「お悩み解決プロセス」に分けてそれぞれ端的にまとめられており、読者はどのような流れで、誰に相談し、どのような手続きを踏んで解決したらいいかがつかめる。また、「お悩み発生プロセス」のフロー図を見ると、読者が現在抱えているであろう悩みとの類似点を把握しやすい。
事例ごとに「お悩み発生プロセス」から「お悩み解決プロセス」まで、解決までの過程が時系列で把握できる(資料提供/東京都)
「空き家のギモン」には、空き家の問題点、相談窓口情報も
ガイドブック後半の「空き家のギモン」は、Q&Aの問答を基本にして、空き家についての基礎的な知識がまとめられている。その内容は、空き家を生じさせないために、また、空き家の状態が長期化しないために知っておくべき情報も多い。
例えば、下記のような内容だ。
Q.どんなときに空き家になるのですか?
A. 日本全国で見た場合、相続や転居、高齢者施設などに入居したときに空き家になるようです。モデル事業の相談事例では、相続時と高齢者施設への入居時などに空き家になる傾向が強いです。
そのほか、「Q.空き家を相続したら、まず何を確認すればいいのですか?」「Q。相続に関する手続きなどについて気を付けることはありますか?」「Q.空き家でも税金がかかるのですか?」などの問答からは、親など家の所有者と生前のうちから相続について話し合い、できれば必要な手続きを済ませておくことが重要だと分かる。
また、ガイドブックの前半に取り上げられた事例の解決策の「除却」「利活用」「管理」などについて、より踏み込んだ情報が盛り込まれている。終盤のページには空き家の利活用や相続について相談できる専門家による相談窓口、ワンストップ相談窓口などの情報がまとめられている。さらに、空き家に対する補助金などの支援制度や空き家・空き地バンクといった関連情報も付加されている。東京都内の空き家の現状から、空き家の成り立ち、解決策、相談窓口まで一気通貫して把握できる、空き家について初めて学ぶ人に必携の一冊といえるだろう。
上/後半冒頭のチェックリストで自分の空き家の問題を再確認できる。下/それぞれの空き家の課題に対して一般的な解決の流れや使える制度などが紹介されている(資料提供/東京都)
区部、市部とも「ひどいボロ家」に関する苦情が問題に
さて、ところで、東京都内の空き家の現状やその特徴はどうだろうか? 2013(平成25)年の「住宅・土地統計調査」では東京の空き家率は11.1%だったが、2018(平成30)年の同調査では10.6%とわずかだが減少した。とはいえ実数は約81万戸に上り、47都道府県の中で最も多い。ちなみに、同調査で2018年時点の全国の空き家数は846万戸、空き家率は13.6%。過去最高の数字だ。
東京都23区内、特に交通至便な地域では空き家の問題はそれほど深刻ではないという。「いったん空き家になってもほどなく入居者が決まるなど、中古住宅が“循環”している様相です。平成28年に目黒区で調査したところ、約660棟あった戸建て空き家が、9カ月後には約30%埋まっていました」と磯山氏は話す。通常、空き家実態調査を行った後は空き家が課題となっている自治体では対策計画が立てられるが、23区のうち千代田区や中央区、港区では行われていない。「喫緊の課題とされていないからではないか」と磯山氏はみる。
東京都内で区部、市部ともに周辺住民から苦情が多いのは、「ひどいボロ家」、いわゆる特定空家にまつわるものであることが特徴的だという。長期間放置された空き家が朽ち、防災面、衛生面で支障をきたす。2018年の「住宅・土地統計調査」によれば、東京都の空き家約81万戸のうち、腐朽・破損のあるものは11万8900戸を占める。「東京都の場合、家が隣接する住宅地が多いだけに、特定空家があると苦情になりやすい」(磯山氏)
今回話を伺った磯山氏自身も、相続した家に買い手がつかず、図らずも空き家を抱えた経験があるという。現在の居住地と離れていたりすると、手続きなどがままならず思いのほか解決に時間を要することもある。家を相続する可能性のある人は、なるべく早く自分の事としてとらえ、対処法を探っておくべきだろう。当ガイドブックはすでに品薄だが、間もなく増刷予定だ。
●取材協力
・東京都住宅政策本部住宅企画部
・「東京空き家ガイドブック」
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